不確実性の科学 uncertainty science 2003 11 11
資本主義の特徴は、不確実性にあると思います。
何が不確実かというと、情報が不確実、つまり、情報が完全でない。
さらに、情報が完全だったとしても、人間の行動は、心理に左右される。
だから、資本主義の特徴は、不確実性にあると思いますし、
資本主義の発達は、保険という概念を抜きにしては考えられない。
そう思って、大学時代は、不完全情報の経済学、
あるいは、不完全競争の経済学を学びました。
これは、私の父親が、株式投資をしていて、
さらに、父親の友人も、株式投資をしていて、
その姿を見て、
投資家とは、情報が完全でなく、
しかし、情報が完全でも、合理的行動をしないということでした。
株式市場には、膨大な情報があふれています。
その膨大な情報をすべて理解するのは、不可能に等しい。
仮に、膨大な情報をすべて理解したとしても、
合理的な行動は取れない。
やはり、投資家は、市場心理に左右される。
好決算が発表されても、株価が下がり、「材料出尽くし」と言われる。
しかし、何日か後で、突然、株価が上がる。
これに対して、好決算が蒸し返され、再評価されたと言われる。
あるいは、投資指標であるPERやPBRが、いくら割安になっても、
投資家は、その株を買わない。聞けば、その株は人気がないからと答える。
しかし、有名なアナリストが、その株を評価すると、
急に、その株が人気となり、株価が上昇する。
このように、一番、合理的な行動をするはずの投資家も、合理的でない。
投資家と言えども、心理的な影響を受ける。
投資家と言えども、すべての情報を習得できない。頭がパンクする。
不完全情報の経済学や、心理経済学の構築も、必要ではないでしょうか。
「日本発の新しい経済学」があっても、いいのではないでしょうか。
そろそろ、欧米のマネは、やめましょう。
そう、日本では、経済学が、翻訳業となっています。
つまり、日本において、経済学とは、欧米の経済学を日本語に翻訳することです。
「日本独自の経済学」を作っても、いいのではないでしょうか。
不確実性の科学とは、経済学のことでしょう。